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【BAR TALK】リフレはもう終わり? 話題は次の熱狂→10年後へ

9月4日
読了時間: 8分

マスター:「ちょっと面白いニュースが出ましたね」

常連客:「どれ?」

マスター:「アメリカのベッセント財務長官が、日本はもっと利上げして、大規模な財政刺激も見直した方がいい、と」 Reuters

常連客:「ああ。あれは結構象徴的なニュースだと思うよ」

マスター:「でも、日本って長い間ずっと逆のことをやってきましたよね」

常連客:「そう。デフレから脱却するために、金利を低くして、お金を出して、物価を上げる。いわゆるリフレ政策だね」

マスター:「で、今度はアメリカから『もう刺激するのやめたら?』と言われてる」

常連客:「かなり乱暴に言えば、そういう構図だね」


マスター:「つまり、アメリカから見ると、日本はもうデフレじゃないんだから昔と同じ政策を続ける必要はない、と」

常連客:「そこがポイントだと思う」

マスター:「でも、そもそも日本は何のためにインフレを目指したんでしたっけ?」

常連客:「日本を豊かにするためだよ」

マスター:「……豊かになりました?」

常連客:「また嫌な聞き方するね(笑)」

マスター:「だって、一番聞きたいのそこじゃないですか」

「デフレ脱却」は目的だったのか、手段だったのか

日本銀行は現在、2026年度の消費者物価上昇率を2.5%と予測。さらに2026年度後半には、物価上昇率が2%を明確に上回る可能性を示し、経済・物価情勢に応じて政策金利を引き上げていく方針も明記。日本銀行「2026年7月 経済・物価情勢の展望」

マスター:「ということは、長年目標にしていた“物価が上がる日本”には、かなり近づいた?」

常連客:「少なくとも『物価が上がらないこと』だけを問題にしていた時代とは違うね」

マスター:「じゃあリフレ政策は成功?」

常連客:「そこで話を終わらせるからおかしくなる」

マスター:「どういうこと?」

常連客:「本来の目的は、“物価を2%上げること”じゃないだろ」

マスター:「国民を豊かにすること?」

常連客:「そう。物価が上がったかではなく、実質的に暮らしが豊かになったかを見ないといけない」

マスター:「給料が3%増えても、生活費が5%増えたら意味がない」

常連客:「株価が上がったとしても、株をほとんど持っていない人にとっては生活実感が全然違う」

マスター:「なるほど。“デフレ脱却”って、いつの間にか政策の手段じゃなくて目的そのものになっていたのかもしれない」

12年前、「インフレを目指すこと」に異論を唱えた人

マスター:「そう考えると、今読み返すと面白い本がありますよね」

常連客:「中原圭介さんね」

マスター:「そうです」

2014年、中原圭介氏は『インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る』を刊行。

当時は、異次元金融緩和や2%の物価目標が進められていたアベノミクスの真っただ中。

しかし中原氏は、本書で「なぜわが国にとって緩和政策は毒なのか」と問い、円安の副作用や、「デフレ=悪、インフレ=善」という単純な図式そのものに疑問を提示。 本書では「円安だけでは日本に工場は戻ってこない」「悪いデフレと悪いインフレ」といった問題も扱われている。『インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る』中原圭介 2014

マスター:「2014年ですよ」

常連客:「12年前だね」

マスター:「じゃあ今なら答え合わせできるじゃないですか」

常連客:「何を?」

マスター:「本人に聞くんですよ」

『中原さん。結局、どうだったんですか?』

常連客:「また雑だな(笑)」

マスター:「でも聞きたいでしょう」

常連客:「まあね」

マスター:「インフレになった。円安になった。株価も上がった。それで日本人は豊かになったのか」

常連客:「そして、もし政策に副作用があったなら、いつ方向転換すべきだったのか」

マスター:「まさに今のベッセント発言につながる」

なぜ今、アメリカから「もうやめよう」と言われるのか

常連客:「ベッセント氏の話で面白いのは、日本国内だけの問題じゃなくなっていることなんだ」

マスター:「円安ですか?」

常連客:「それもある」


低金利が長く続けば円を売る圧力が残りやすく、円安は輸入物価を押し上げる。一方、大規模な財政支出を続ければ日本国債への懸念が強まり、長期金利が上昇する可能性もある。

Reutersは、ベッセント氏が日本の政策修正を求める背景として、円安とインフレだけでなく、日本国債市場の不安定化が米国債市場へ波及するリスクも指摘。(Reuters)

マスター:「つまりアメリカとしても、日本の政策は他人事じゃない」

常連客:「そういうこと」

マスター:「でも不思議ですね。昔は『日本はデフレから脱却しろ』と言われて、今度は『もう刺激するな』と言われる」

常連客:「経済政策って、その時に正しいものを永遠に続ければいいわけじゃないからね」

マスター:「薬と同じですね」

常連客:「病気が変わったのに、同じ薬を飲み続ければ副作用が出る」

マスター:「それ、中原さんに聞いてみたいな」

『日本はいつ、リフレ政策から降りるべきだったのか?』

ところで、次の「熱狂」は?

マスター:「ここまで12年前の答え合わせをしておいて何ですが、時事バーとしては過去の話だけじゃ終われないですよね」

常連客:「次は何?」

マスター:「AIです」

常連客:「やっぱり来たか」

マスター:「今度は逆に、12年後に答え合わせする側ですよ」

AIは革命なのか、バブルなのか

いま、AIへの投資は株式市場だけの話ではなくなっている。

Reutersは9月3日、AmazonやMicrosoft、Googleなどの巨大テック企業によるAIインフラ投資と資金調達が、米国の長期金利を押し上げる要因の一つとして議論され始めていると報じた。AI投資が、マクロ経済そのものを動かす規模になりつつある。(Reuters)

世界のデータセンター関連投資についても、2030年までに約7兆ドル規模になるとの予測が報じられた。(Reuters)

マスター:「7兆ドル……」

常連客:「とんでもない金額だよ」

マスター:「それって、もうバブルじゃないんですか?」

常連客:「金額が大きいだけではバブルとは言えない」

マスター:「AIが実際に利益を生めばいい?」

常連客:「そう。しかも今のところ需要の強さを示す数字もある。Broadcomは昨日、AI半導体の2027年度売上見通しを約1150億ドルへ引き上げた。実需そのものが弱いわけではない」(Reuters)

マスター:「じゃあバブルじゃない?」

常連客:「そこも違う」

マスター:「どっちなんですか」

常連客:「技術が本物であることと、投資がバブルになることは両立するんだよ」

マスター:「ああ」

常連客:「インターネットを思い出せばいい。ITバブルは崩壊した。でもインターネットそのものは世界を変えた」

マスター:「つまりAIが本物でも、AI株やAI投資が高すぎることはある」

常連客:「そういうこと」

「バブルは、弾けた後なら誰でも分かる」

マスター:「そうなると、中原さんにAIの話を聞きたい理由も分かってきますね」

常連客:「住宅バブル?」

マスター:「はい」

フォレスト出版の中原氏の著者紹介では、中原氏が2005年9月の著作ですでに、世界経済が「アメリカの住宅バブルによる過剰消費」に支えられていると指摘し、世界的な株高についても「長くてもあと2年」と警告していた。フォレスト出版「中原圭介」著者紹介

マスター:「2005年ですよね」

常連客:「サブプライム問題が世界中のニュースになる前だね」

マスター:「バブルって、崩れてから『あれはバブルだった』って言うのは簡単じゃないですか」

常連客:「簡単だね」

マスター:「でも難しいのは、みんなが儲かって、みんなが『今回は違う』って言っている時に疑うこと」

常連客:「バブルにはいつも、それなりに説得力のある物語があるからね」

マスター:「住宅価格が上がるのは需要があるから」

常連客:「IT株が上がるのはインターネットが世界を変えるから」

マスター:「AI株が上がるのはAIが世界を変えるから」

常連客:「全部、完全な嘘ではない」

マスター:「それが怖い」

じゃあ、中原圭介は今のAI市場をどう見る?

マスター:「聞きたいことはシンプルです」

『今はAIバブルですか?』

常連客:「ストレートだな」

マスター:「もっと聞きますよ」

『2005年の米国住宅市場と、2026年のAI市場に似ているところはありますか?』

『もしAIバブルが崩れるなら、最初にどんな数字に異変が出ますか?』

『AIそのものが世界を変えても、AI株だけ先に崩れることはありますか?』

常連客:「最後に一番聞きたいのは?」

マスター:「これですね」

「もし今が2005年の住宅バブルと同じような局面だとしたら、私たちは“あと何年”の場所にいるんでしょうか?」

常連客:「答えてくれるかな」

マスター:「少人数のイベントなんだから、そこまで聞きましょうよ」

経済予測で本当に知りたいこと

常連客:「ただ、予測が当たったか外れたかだけを聞くイベントにはしない方がいいと思う」

マスター:「というと?」

常連客:「重要なのは、何を見てそう考えたのかだから」

マスター:「なるほど」

常連客:「2005年、住宅バブルのどこを見ていたのか」

「2014年、なぜインフレ政策に疑問を持ったのか」

「2026年、AIのどの数字を見ているのか」

そこに共通する考え方があるなら、それこそ参加者が持ち帰る価値がある。

マスター:「未来の答えそのものより、未来を見る方法を聞く」

常連客:「そう」

マスター:「じゃあ12年前の答え合わせから始めて、最後は10年後まで行きましょう」

常連客:「10年後?」

マスター:

「2035年、日本人は今より豊かになっていますか?」

常連客:「ずいぶん大きい質問だな」

マスター:「バーですから」

常連客:「便利な言葉だね」

9月12日、中原圭介氏との「答え合わせ」

今回の時事バーでは、その中原圭介氏をお招きします。

テーマは、

「インフレになれば日本は豊かになる」は本当だったのか?

2014年に中原氏が提示した金融緩和・円安・インフレ政策への問題提起を、実際にインフレ時代を迎えた2026年から本人と答え合わせします。

さらに、住宅バブルを早い段階から警戒していた中原氏に、

「AIバブルは弾けるのか?」

も伺います。

ちょうど今、日本には米国から金融・財政政策の転換を促す声が上がり、一方の米国ではAIへの巨額投資が株式市場だけでなく債券市場や金利にも影響を与え始めています。

12年前の議論が再びニュースになり、次のバブルかもしれないものが目の前で膨らんでいる。

だからこそ、このタイミングで本人に聞く意味があります。

2026年9月12日(土)18:00〜20:00 Little Japan/浅草橋  登壇:中原圭介氏  参加費:5,500円(飲み放題付き)

前半はトークライブ。後半1時間は、参加者から中原氏への質疑応答と交流会。 ▼詳細・参加登録▼ https://peatix.com/event/5129267

大規模な講演ではなく、10〜20人程度の距離感で、ニュースを見ていて本当に聞きたいことを本人に直接聞くイベントです。

マスター:「12年前の答え合わせをして」

常連客:「今のAIを見て」

マスター:「さらに10年後を考える」

常連客:「忙しい2時間だね」

マスター:「グラスは空けておいてください」

常連客:「そっちも忙しくなりそうだ」

 
 
 

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